まがどりのやうな冠船が翼をひろげて
薩摩の殿にはあへまいわなあ。
まざまざと浮んでくるやうな。―
殿はいま露つぽい
あゝなさけない世となつた。
ついあけがたまでなつかしい殿御と
添寝の夢の名残は
うらめしい
むつくり起きあかりて仰せらるゝ
「さらばかめイしばらくは待つてくれ[#「待つてくれ」は底本では「待ってくれ」]。」
「妾もついてゆきます」と申すと
「これが邪魔する」とはつたと叩れた腰の朱鞘。
そうしててしやで染のわか小指をにぎられたが。
はてなさけない世となつた。
どうして添寝ができませうか。
」国書刊行会
)沖縄毎日新聞(明治四十二年〜大正三年)篇」法政大学沖縄文化研究所、1988(昭和63)年9月20日発行では判読不可の文字を「まがどり□やうな」「姿□眼の前に」「